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ピッチドロップ

約90年という世界最長の期間に渡り現在でも継続されている「ピッチドロップ実験」を

ご存知ですか?
一見固体のように見える物質が、長い年月をかけてゆっくりと滴る様子を観察する実験。

一滴落ちるのに数年かかります。現在、実験器具は室温固定されたガラスの器に覆われて、

24時間体勢でインターネット映像配信されながら、次の一滴が落ちるのはいつになるのか、

と世界が気長に待っています。


とある地方大学の研究室。
ここでも、同じような実験が行われています。
研究室では、日頃は特別その実験に触れられることもなく、
たまに授業で紹介されたり、研究室の学生が衝撃を与えないように気を遣う程度の存在です。

地震が、地域を襲います。

大きな揺れの後めちゃくちゃになった研究室の様子を見に来た学生が発見した、頭部だけの女性。
頭部だけになっても生きていたその女性は、教授の妻だった。
大震災を乗り越えて、頭だけになって生き残った女は、底抜けに明るい。

なぜ、この研究室にこの女性はいる(あるいは置かれている)のだろう?
教授の思惑、妻の心情、取り巻く学生達との奇妙な交流の中で、それぞれに生きる力を見いだしていく。

河野ミチユキ渾身のラブ戯曲。
不条理な世界の、愛という唯一の真実を求める旅です。

​熊本地震の翌年である2017年に熊本市、長崎市、北九州市にて上演。

​「ピッチドロップ」は日本劇作家協会の戯曲デジタルアーカイブにて公開されております。

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